形見

 

夕暮れ時に

手紙が届いた

日付を見て

泣きたくなる

まだあの人が

傍にいた日だった

もっと早くに届いていたら

何かが変わっていただろうか

風にふかれるまま

ただ立ち尽くして

あふれる涙

宛名がにじむ

封を切る指が

呆れるほどふるえて

そっと開いた便箋からは

あの人の使っていた

コロンの馨り

揺れる視界に写る

流麗な文字

最期に見た

あの人の笑顔が

まるで幻のように

浮かんで消えた

見えない手で書かれた

初めてで

最期の

悲しい手紙

これが

あなたの形見

 

 

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